「アール・ブリュット再考2展」が徳島県立近代美術館で開催中です。
※ 同時開催の「第4回 障がい者アーティストの卵 発掘展」は3月3日で終了しています。
アドファーレンでは昨年に続き今年も展覧会の
ポスター、チラシ、サインなど一連のデザインを制作いたしました。
今回のアール・ブリュット展はその草分け的存在でもある
「みずのき美術館」の所蔵作品を展示した展覧会になります。
ちなみに美術館のグラフィック全般は菊地敦己さんが担当されています。
昨日はみずのき美術館キュレーターの奥山さんのお話しを聞きに行ってきました。
僕自身、仕事を通して関わる中でぼんやりと受け止めていた
障がいとアート、アール・ブリュットという考え方をについて考えさせらる
とても興味深いお話しだったので少しご紹介したいと思います。
「アール・ブリュット」を定義することは難しい、と思います。
お話しをお聞きしてそもそもそういう枠組み自体必要なのかということも考えさせられました。
アール・ブリュットが「美術教育を受けていない作品」とされる中で
日本画の先生に技術を教えられたみずのきの作り手の作品をアールブリュットという
くくりで見ることに多少の違和感を持つことはあるのかもしれません。
一方で知的障害のある人が作った芸術作品が必ずしも同義語ではないということも
受け取る側としては定義を難解にさせているということもあるのかもしれません。
純粋なアート。これ自体、捉え方が難しいですから。
ただこれらは受け手の感想であって、障がいを持つ方々と日常を共にする
奥山さんや関係者のみなさんは、作り手である彼、彼女らが
そのことをどのように感じているのかといった別の視点で
とても難しい問題とも向き合っていらっしゃるのだろうと思いました。
美術的な価値が障がいを持つ方の背景を含めた作る過程にあるのか、
生み出された作品そのものにあるのか、といった議論もどの視点で見るのか、
関わるのか、その立場や環境でも大きく変わってくる気がしましたし、
少なくともみずのきの作品が障がい者の施設の中で生まれ
技術的にも価値を認められた作品であることを考えれば
もっと広義な、独自の視点で捉えることは出来るのではないかとも思いました。
様々な課題に取り組みながら過去のアーカイブに加え、
現在は形を変えアートプロジェクトなどを通して活動をされている
みずのきの皆さんの考え方に少しだけ触れることが出来、
とても意味のある時間になりました。
「アール・ブリュット再考2展 みずのきの色層」
会期は今月10日(日)まで。
入場は無料ですのでお時間のある方はぜひ、足を運んでみてください。