素顔のとくしま、紡ぐ物語『めぐる、』の話

昨年創刊した『めぐる、』

隔月発刊で早3号目。すっかり出遅れてしまいましたが

こちらの表紙のアートディレクション、デザインなどを担当しています。

 

「今、雑誌を創刊ですか。」と方々で言われた、とはここだけの話ですが ^-^;

今の時代、だからこそもう一度 “本” にこだわりたかったと言う想いがあります。

 

情報過多と言われる時代に私たちは

毎日浴びるように情報を取り込み、そして廃棄しています。

最新の情報が次から次へと流れていく中で、

少し立ち止まり本当に良いと感じる情報を見つめ直すことは

今の時代にこそ大事なことなのかもしれません。

 

この本のコンセプトは「素顔のとくしま、紡ぐ物語」
 

編集者が徳島を巡って感じたこと、発見したものを丁寧に紡いでいます。

その時、その場所、そのタイミングでしか出会わなかったであろう情報は

ネットで調べるとすぐに出てくる使い勝手の良い便利な情報ではありません。

 

使い捨ての情報ではない、残し紡いでいく情報と向き合うことで

知ってるようで知らなかった自分たちの住む場所のことを改めて知り

「何もない場所」ではなく「素敵な場所」として

自分たちの言葉で伝え、縁を紡いでいけるように。

 

そんな想いの詰まった1冊が「めぐる、」です。

 

3号目の特集は「紙で伝える」。

デジタル全盛の時代にあえて紙で伝えることを
選んだ人たちの想いを綴っています。

 

 


この号では僕自身も “名刺” を題材に、デザイナーとして

紙で伝えることについて執筆をしています。

 

 

お伝えできていなかった『めぐる、』

創刊号は「喫茶店は好きですか?」。

徳島には昔からたくさんの素敵な喫茶店があります。

おしゃれなカフェの最新情報はありませんが

その時代、時代を刻んだお店の今を。

そして徳島の今を垣間見ることができる一冊です。

 

 

2号目は、世界を旅する写真家 石川直樹さんの

写真が表紙の「旅を感じる時間」。

日常の中に散りばめられた、ふとした時に感じる

「旅の瞬間」を紡いでいます。

 

『めぐる、』はwebからの購入も可能ですので

遠方の方もぜひ手に取ってもらえると嬉しいです。

 

めぐる、webストア

 

 

 

 


想いを届ける − 大橋 力「座編みの椅子」受注会 DM

『遠近 をちこち』で開催されている

大橋 力「座編みの椅子」受注会のDMを作成しました。

 

 

ちなみに今回の依頼は『をちこち』店主からで、作家の大橋さんと面識はない。

『をちこち』の喫茶で座り心地がいい椅子があるなあと思ったそれが

大橋さんの作った椅子だったという記憶がある程度。

でも「なんかいいな」そう感じたくらいでちょうどいいのかもとも思った。

 

デザイナーとしてそれでその作家さんのDMなんか作れるの、、、

ということになるのかもしれないけれど(制作期間や予算の話は置いておいて 笑)

今回のこの仕事に関しては、僕自身が作家さんのことを知りすぎることは

決して正しいアウトプットには結びつかないなあと考えた。

 

 

まず『をちこち』はどんなお店なのか、と尋ねられれば、

“こだわりの強い” 店主のいるお店、とそう応える。

取り扱うものは必ず作品が生まれるその土地を訪れ、

人に会い、自分の目で、耳で、舌で、手で確かめたものを選ぶ。

とにかくそういうことを徹底している。

 

当たり前だけど、作品、あるいは製品が世に生み出された後

何もしないでそれらが僕たち消費者の手元に届くことはない。

今回のようなDM、WEB、売り場やディスプレイ、ラッピング、

接客といった具合に消費者は『をちこち』のようなお店の世界感や

店主とのコミュニケーションを経て商品を手にすることになる。

受け取る側のイメージはコミュニケーションの仕方によって異なってくるわけだ。

 

※文章の中で作品、製品が商品に変わったことに気づいていただけただろうか。

 

 

このプロセスは「製品」や「作品」が「商品」に変わる重要なプロセスでもある。

 

 

今回のDMに関して大事にしたことは『をちこち』店主の感じる大橋さんのイメージ。

この店主の、お店の、フィルターを通して消費者に届けられるイメージを描くことが

考え方のベースにないと、求められる目的地へ着地させるのは難しいだろうと考えた。

 

前提としてこの受注会で椅子が飛ぶように売れる、とは思っていない。(おい!)

(いや、売れると作家さんや店主以上に喜ぶかもしれないけど 笑)

大事なことは売れる以上に、『をちこち』のフィルターを通して

大橋さんの椅子を知ってもらうこと、作家さんのイメージを届けること。

そしてもう一つは、大橋さんの創る椅子を通して

『をちこち』自身の届けたい想いをお客様に伝える、ということです。

 

お店は、どんな業態であっても、そこに想い、思想がないと続かない。

この思想を届けることでブランドは育つのだ。
 

 

以前、ツイッター(https://twitter.com/ADFAHREN)で

「好きなデザインが正しいデザインとは限らない。

正しいデザインが好きなデザインとも限らない。

ただし好きが “解” に近い場合もあるので見極めは必要。」

こんなことをつぶやいたけど

 

今回のDMは、クライアントの好き(こうしたいという想い)が

 “解” に近いひとつの事例だったのではないかと思います。

 

 

ぜひ、二人の創り出す世界観を感じにお店へ足を運んでみてください。

催事は3月いっぱいまで開催していますよ。

 

 

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遠近 をちこち
〒770-8040 徳島県 徳島市上八万町樋口266-1

https://www.ochicochi.info

 

 

 

 


カッコいいデザイン


表紙デザイン&ディレクションを担当している
タウン誌 Geen 7月号が発売になりました。

特集は『泊まらなくても食べられる 宿めし』

 

 

 

今回、撮影で訪れたのは旧木沢村の古民家を改装した宿。

足元にある自然の豊かさを感じることが出来た

1時間ちょっとのプチトリップ。

おもいっきり深呼吸したのも本当に久しぶりだったかも。

市内から車で片道2時間近くかかる山の中の宿に
長期ステイをする外国の人が増えているのだそう。

情報源はフェイスブックやInstagramなどのSNS、個人のブログ等々。

一般的な有名スポットやグルメ観光とは違って

その土地の自然や文化に触れることが最高の贅沢で

旅の醍醐味であり、旅の目的であると言う。

 

宿の方にお話を聞いて面白いなあと思ったのが例えば食事。

郷土料理はその土地の生活や文化を知るためには欠かせないオプションのひとつ。

(当然、個人差はあるとして)フランスなど欧州の旅行者の多くは

その土地のものをそのまま受け入れるし、楽しむことを知っている。

そうした背景にはその国の文化と長い歴史も関係しているのだと思う。

で、お国が変われば(あえてどこだとは言わないけど)

味付けが好みでなければ調味料を(わざわざ持って来てる人もいるみたい)

バババッとかけて自分の好みの味に平気で変えてしまう、とか 笑

 

こんな風にお話をしてみると興味深いことが本当に盛りだくさんで。

その土地での出会いや交流もまた旅の醍醐味なんだろうなあと思うのです。

 

 

そもそも、自分たちは何もないと思っているんだけれど

その土地にしかない、その土地だからこその魅力はたくさんあって、

それが当たり前すぎて見えなくなってしまっているのだと思います。

 

 

最近、関わることの多いブランディングのお仕事も

中からでは気づきにくい、見えにくくなってしまっている魅力も

外からの方が気づきやすかったりするものです。

そして改めて気づいた魅力を今度は必要としている人に

どう伝えていくのかも大事なことだと感じています。

 

 

海外の人が日本は魅力的でクールだと言ったことから

はじまった国を挙げての「クール・ジャパン」戦略。

僕自身はそもそも自分で自分のことを「オレたちってクールでしょ」って

言ってる時点で全くクールじゃないと思ってるんですけどね 笑

 

だから、ほんの少し。魅力が伝わるきっかけになるような

さりげないデザインで媒介役としてのお手伝いができれば、

それって実はカッコいいんじゃないかなあと思うわけです。

 

 

 

 


言葉の力とデザイン


 

現在、アートディレクターとして契約を結びブランディングや

デザイン業務のお手伝いさせていただいている高松の扶桑建材工業様。

こちらの倉庫の壁面を使ったサインデザインとその広告展開のご紹介です。

 

すぐ横にはJRが走っていて電車の車窓からはこの倉庫の壁面が大きく目に飛び込んできます。

通常であれば “電車からでもすぐにわかる”ことが広告の条件として考えられますが、

多くが通勤など日常生活の足として電車を利用することが考えられる環境下で

ほぼ毎日のように目にする可能性を考えた時に、逆に一瞬で完結してしまう

コミュニケーションではない考え方もあるのでは、と思いはじめました。

 

素材のひとつとしては、すでに先行して掲げられていた企業の40周年コピーがあり

僕自身、とても魅力的に感じていたこのコピーをもっと深く

コミュニケーションのきっかけに出来ないかという想いがありました。

 

 

今日の自分は、好きか?

10年後の自分は、どうだろう。

ワクワクする未来をご一緒に。

扶桑建材工業株式会社

 

 

そこで言葉のボリュームをあえて大幅に増やし、“しっかり読むことで伝わる広告”

というアプローチを展開することをひとつの方向性としました。


 

 

さらにこの広告は求人広告としてもJR高松駅構内のB1ポスター、車内吊り広告などで展開。

先行していた新聞広告などと合わせて、点と点が繋がってブランドイメージを高めていく

理想的な形として着地することが出来ました。


 

 

僕自身、ここまでコピーを前面に打ち出した広告展開というのは初めてでした。

 

「広告はラブレター」とは使い古された言葉かもしれませんが、

どんな想いを持った人が、どんな未来を想い描いているのか。

こんな時代だからこそ、想いの丈をちゃんと声にすることが出来るって素敵だなあと思うのです。

 

今回は言葉の力とデザインがうまく融合したお仕事になりました(^ー^)b

 

 

 

WORKS_扶桑建材工業 企業広告

 

 

 

 


アートを楽しむ


 

「生の刻印 アール・ブリュット再考展」

「第3回 障がい者アーティストの卵 発掘展」が

文化の森 近代美術館で開催中です。

 

仕事で関わるようになって毎年観覧していますが

豊かな感性で表現されたその造形には

いつも本当に惹き込まれてしまいます。

 

繊細で、緻密で、時に大胆で強く、美しく。

表現の裏側にある想いを強く感じてしまうのは

ある種の先入観からなのでしょうか。

ただ、“見方”というものを考えはじめると

純粋にアートを楽しむことが出来なくなる気もします。

 

私が観覧を終えたたちょうどそのあとに、

引率の先生に連れられた園児たちが観覧を終え、

学芸員さんと一緒に口々に話しているのを聞きながらその純粋な言葉に、

もっと単純に見たまま感じたままを受け止めるだけでいいんだ、

と小さな園児たちに教えられたのでした 笑

 

両展覧会ともに入場は無料です。

会期は今月4日(日)までですので

お時間のある方はぜひ足を運んでみてください。

 

 

 


デザインのスタート


あわわ2017のうちわが完成しました!

うちわは毎年、新人さんが制作を担当するらしく、
僕は新人さんたちにも自分の手がちゃんと加わったものが世に出て、
それを手にした人が喜んでくれる、という循環を通して
ものづくりの喜びや楽しさを感じて欲しいと考えました。
 
そこで、藍染を生かしたデザインというリクエストに、
素材を借りてきたり、PC上で加工したりするのではなく
担当された新人さん2人に実際に藍染めをしてもらって、
出来上がったものをデザインの素材として使いたいとお願いをしました。
 
新人さんたちが頑張って藍を染めて来てくれた時は嬉しかったなあ (о´∀`о)
 
ちなみにこの時点で今回の仕事の6割くらいは終わっていて・・・
実質的なデザイン制作に費やしたのは残りの4割程度 ^-^;

 

でもそれは、今回の依頼の本質がデザインを整えることだけでなく

「一緒に考える、創る」というプロセスにあると考えていたからです。

10割をデザインの制作に費やして出来るものと
今回のようにプロセスを踏まえてデザインしたもの。
どちらも最終的に同じようなものが出来ていたとしても

(今回のデザインに正解があるのならば・・・)

正解に近いのは間違いなく後者だったと思います。

 

出来上がった瞬間が最高のデザインより、出来上がった後に

関わったみんなの手を通して完成度が高まっていくことに、
デザインの本当の強さや美しさがあります。

 

ゴールではなく、やっとスタートラインに立ったデザインが
これから新人さんや、あわわのスタッフみんなの手で
たくさんの人に届けられて強く、美しく育っていくのを楽しみにしています!


うちわは阿波踊り本番の8月12日、
無料で配布されるようなのでぜひGETしてくださいね♪

 

 

 

 


今に生きる「人道博愛の心」展 デザイン


徳島県立近代美術館で開催中の

日本赤十字社徳島県支部創立130周年記念展 

今に生きる「人道博愛の心」のデザインを担当しました。

 

今回のように美術館展示のデザインに一式で

関わらせていただいたのは初めてでとても光栄でした。

 

日本赤十字社徳島県支部の皆様

美術館の皆様、本当にありがとうございました。

 

私も会期はじめに観覧してきましたが

これだけの内容のものが一堂に見られる機会は

そうそうないのでないかと思います。

 

会場は一部の日本赤十字社に寄贈された名画の数々の展示と

二部の赤十字活動にまつわる資料や美術品の展示の二部構成で

中には昭和初期の赤十字ポスターや雑誌などもあり

意外に(!?)デザインの視点で見る楽しさや

また、徳島ゆかりの展示物などもありとても見応えがありました。

 

副館長さんにお聞きしたところ、皆さん

滞在時間も長くとても満足されているとのこと。

 

会期は6月11日(日)までですので

まだの方はぜひ足を運んでみてください。

 

 


タウン誌 表紙ディレクション


 

タウン誌 Geen 6月号が発売になりました \(^ー^)/ 

 

焼肉と生中の定番も時代とともに様変わり。

肉とお酒の楽しみ方も多種多様になりました。

今月号の特集は肉とビールの “ニュースタンダード”!

 

表紙も、これまでのメンバーではなく

フードコーディネーターさん、カメラマンさんなど

新しいメンバー構成で撮影に臨みました。

 

もちろんこうした人選やコーディネイトなども

表紙ディレクションの大事な仕事のひとつ。

編集長との事前打ち合わせから撮影の立ち会い、

現場でどうすればメンバーそれぞれが

より良いパフォーマンスを発揮できるかを

その時々の状況に応じて判断していきます。

 

撮影はいくつかの方向性でカットを抑えておき、

チョイスした写真に合わせてデザインも複数案で検討します。

 

今回、ボツになった料理や写真の中にも

素敵なものがいくつもあったので最終候補に残った案を特別に。

 



しかし撮影中は、皆の(いや特にカメラマンさんの!)
「美味しそう」「おなかすいた」を何回聞いたことか 笑

 

今回も楽しい現場になりましたー!

 

 

 


あおあお 11号「藍がある」


徳島の文化を発信する情報誌『あおあお』11号が発刊になりました。

 

特集は「藍」。

題材としてまさに王道のテーマですが、

日常の中にある藍を“あおあお” らしい視点で切り取りながら、

丁寧に紹介しています。

徳島にいながらはじめてづくしの内容に

改めて藍を身近に感じられる1冊になりました。

 

 

 

 


見えないデザイン

 


 

『もし君が家具のデザイナーでとても美しい箪笥を作っていたら、

背面で誰も見ないからと言って後ろにベニヤ板をはったりするだろうか。

背面でもそこに存在すると感じれば、後ろにも美しい木材を使うだろう。』

スティーブ・ジョブズの言葉です。


ホテルやビルの窓などからふとした瞬間に、

普段は見ることのできないバスの屋根の部分が見えることがあります。


海部観光の高速バス『マイ・リピート』は、

車体のこの屋根の部分に海部観光のロゴマークがデザインされています。

 

これは海部観光さんのお客様へのホスピタリティの高さを

デザインにも反映させたもので、

今回、アップされた動画でしっかり見られてよかったです!笑

 

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海部観光 YouTube ページ

 

 



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